業務一覧(WBS)を作成し、想定していなかった作業が必要である事や、想定している予算感やスケジュール感では対応できない事などを気づける状態を保つことが良いでしょう。その中から許容範囲と許容できないレベルの確認を随時行ってください。
具体的に認識を合わせること
・Q:想定品質と測定方法
・C:予算と想定費用
・D:期限やスケジュールの想定
・S:想定作業量
なお、期待値の調整は重要ですが、ついついリスクの説明ばかりをしがちです。
そうなった場合、意図せず顧客や関係者の信頼を損ねることがあります。そらないように以下の点に注意すると良いでしょう。
・全力で元の計画通りゴールや成果に近づけたいということを伝えながらもリスクを伝え、相手もリスクを認識してからトレードオフ案を出す。
・いきなり100%のトレードオフ案ではなく、10%、20%、30%と小刻みにしたものを伝え、まずは最小対応として10%から承認を取る。※1
また、期待値の調整(特にトレードオフ案の提示)の場合、相手が関心あるのは圧倒的に「これからどうなるか?」という未来の話です。
なのに多くの人が「なぜ計画が乖離したか?」「現状がどうなっているか?」を説明することに必死になりがちです。
たしかに正しく現状と発生している問題を認識することは的確な修正計画を策定する上で重要ですが、
顧客や関係者にとって重要なのはその修正計画とそれによる影響です。
期待値調整に失敗する人のほとんどは、この勘違いをしているパターンが多いです。
特に自身で判断をする決裁者でそのレベルが上がれば上がるほどにより未来の話への関心が高まります。
相手の立場、役職に応じて経緯、原因、修正計画、影響のどこに比重を置いて会話するかを見極め、使い分けましょう。※2
※1:人はいきなり大きな影響やリスクのあることを決断できません。
ただ、一度決断するとその後、そのレベルが上がっても同様の決断をしやすくなります。
考えたトレードオフ案のリスクや影響があまりに大きい場合は、全体を見せた上でより小さな範囲から承認をもらうように交渉すると
スムーズに進む場合があります。
また、自分たちが考えたトレードオフ案も実際は正しいかどうか、どれほど効果があるか分からない、
という場合も小さな範囲で進めることでその後の更なる計画修正も容易になります。
※2:決裁者のレベルが上がるにつれて経緯>原因>修正計画>影響と関心が移っていきます。
[参考資料] COROPS P.96
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ニーズを把握し提案するコツ
〈目次〉 ニーズを把握して深堀する 提案する時のコツ 関連資料 1. ニーズを把握して深堀する チームの目標を立てるためには、誰のどんな問題を解決するべきなのか、相手のニーズをより深く理解することが大切です。ここでは、ニーズをどのように把握・深堀し、どんな提案をしていくと目標が達成でき、より高い成果につなげられるのかを考えます。 ここからは、ニーズの把握・深堀を3ステップでお伝えします。 Step① 言葉にしてくれたニーズを拾う ニーズには、相手から伝えられた「顕在ニーズ」と 相手も整理できていない「潜在ニーズ」があります。 まずは相手が、言葉にして伝えてくれた 「顕在ニーズ」を捉えましょう。 Step② 顧客以外の関係者からもニーズを引き出す ニーズは顧客だけでなく、関係者全体から確認しておくと、 あとで大幅な進め方変更が起こりづらくなります。 Step③ ニーズを確認と深堀 特に潜在ニーズについては、把握が難しいですが、以下のような方法で洗い出していくことができます。 ニーズ把握のやり方 ねらい 顧客ニーズをチーム内で仮説を立てて話し合う 普段の顧客との会話を元に、 「どんなことを求められているのか」 「どんな提案できると良いのか」 ニーズを仮説で考えてみます 顧客ニーズについて、チームメンバーがお互いどのような 認識を持っているか話し合うことで、新しい発見が生まれたり、 チーム内で認識をすり合わせる機会になります。 顧客とのニーズ会話用のミーティングを設定する 顧客との会議にあえて意見交換の時間を組み込みましょう。 アジェンダ例: (変更前)来期方針について (変更後)来期方針についてのディスカッション 今までの会話では話されていなかったことや、 新しく気づいたことなど 積極的に意見をいただける可能性が高まります。 また、課題に目を向け、改善について 意識を向けることができます。 複数の階層でニーズの相違点を押さえる 顧客の担当者・決裁者など、それぞれのニーズに 相違点があるかを考えてみます。 立場・役割・責任の違いによって視野に差があるため、 できる限り複数の階層からのニーズを把握することで、 ニーズをズレて捉えたまま業務を進めてしまうことを防げます。 2. 提案する時のコツ 顧客の要件事項が断片的で全体が分からない時は、仮説を立てて確認する方法も有効です。 最初は精度が低くても、小さいことから仮説を立てて提案し、相手からの反応を見て、少しずつ考え直していくことで、 ニーズの深堀について精度を上げることができます。 情報が断片的なときは仮説で相手に聞く 「これまでのお話から、新商品の開発は ターゲット顧客のニーズをより詳細に把握することが課題であると考えましたが、こちらは正しい理解でしょうか?」 「もし正しいようであれば、私たちがご提案できるのは、市場調査を通じたターゲット顧客の行動分析や、 新商品のフィードバック収集です。この内容は、お求めのサポートに近いでしょうか?」 ニーズの把握・深堀ができたら、次はニーズを叶えるための提案を行います。きれいな提案資料を用意できても、伝わらなければ意味がありません。伝わる提案をするために、大切になるのは「骨子」です。4つのポイントを押さえ、相手にわかりやすく提案できるように以下を活用ください。 4つのポイント 提案する内容 何を決めたいか 決議事項 なぜそうしたいのか 関連する規定・ルール・条件 そこにいたるまでの経緯 背景 関連するアジェンダ・できごと 今回の提案で実現したいこと 目的 目標 提案詳細 詳細内容 スケジュール 金額 課題・リスク 得られる効果 備考 3. 関連資料 ▶▶【📅資料】提案書.pptx はこちら ▶▶【📝記事】ニーズの変化を確認するコツ はこちら ▶▶【📝記事】関係者の洗い出しとキーパーソン特定のコツ はこちら
ニーズの深堀り方法
チームが高い成果を出すには、正しく関係者のニーズを理解する必要があります。 まずは相手が言葉にしているニーズを確認してから、相手から言われたこと以外のことをこちらから聞き出して深掘りすることが大切です。 ここでは、ニーズを深堀するポイントを紹介します。 ニーズ深堀のポイント: ・相手から聞き出した情報が断片的な場合は、「こういうことで困っているのではないか」ということを仮説で相手に聞いてみます。 最初は精度が低くても相手からの反応を見て少しずつ考え直していくことでニーズ深堀の精度があがります。 ・ニーズの聞き出しは、ある階層だけからではなく、できる限り複数の階層のニーズを確認し、相違点を押さえることが大切です。 理由は、立場と役割責任の違いから、上位層はより長期的な視点・広い視野でものごとを見ていることが多く、 下位層ほど短期的、限定的な視点で見ているため、できる限り複数の階層からニーズを確認することで、認識相違を減らすことができます。 ・ニーズは顧客が優先ですが、顧客以外の関係者へも可能な範囲でニーズ把握を行います。
チームの稼働を可視化、管理したい
業務の稼働を可視化する際は、最初から一つ一つの細かな作業/手順に対して何時間かかるのか?を算出してはいけません。 まずは、全員の稼働状況を参照して、全体観を掴みましょう。 内訳は、以下を参考にして、割合を算出します。 ・業務に関すること(業務の遂行、オペレーション等) ・業務の改善活動に関すること(提案に関する時間、業務の改善に関する時間等) ・業務を管理すること(チームの状況把握、数値管理、MTG等) 業務の稼働を可視化する目的は様々ですが、この割合をまずは把握することで傾向が見えます。 例えば、チーム立ち上げ当初であれば、業務に全てのリソースを集中させていることが多く、業務に関することに比率が偏ります。 その後は、例えば業務を標準化させていくために可視化する、そのための改善時間を確保していく事が必要になります。 比率の目安は、別のコンテンツ「体制に必要な人数算出方法」にも記載していますが、全体の15%が改善に使えることが理想です。 まず稼働管理の第一歩は、このような大枠で整理をすることから始めてください。
ナレッジを蓄積しやすい環境作り
ナレッジをチームがより継続して活用していくためには、ナレッジをシェアしやすく、探しやすい環境の構築も重要です。 ナレッジの蓄積は、時間が経過していく中で形骸化しやすいものでもあります。こういった形骸化は環境面を定期的に見直すことでも防止できます。活動を振り返りナレッジをシェアし続けるための環境面についても定期的に見直しを行いましょう。 場の創出と見直し ナレッジを蓄積、活用していくには、「場」の創出が大事といわれています。 これまでの活動を振り返りどのような「場」でナレッジの共有が盛んだったかを考え、より有効な「場」が創れないか見直します。 「場」には具体的に以下のような例があります。 1. コミュニケーションコーナーの設置 (お菓子コーナー、ソファースペース、運動スペースなど) 業務時間や休憩時間での、何気ない人の出会いと知識の交流を生む「場」。 2. フリーアドレススペースの設置 「タコツボ化」を防ぎ、毎日異なる人との知識交流が生まれる「場」。 3. 勉強会・事例発表会の実施 個人の知識やノウハウを、組織に還元する「場」。 4. 社内SNS/グループチャット 個人の知識やノウハウを、インターネット(イントラネット)を使って共有するための「場」。 5. 読書会/輪読会の実施 課題図書を決め、学びや意見を交換する「場」。 新たなナレッジのインプットのきっかけにもなり、個人と組織の成長を促す。 6. 社内報を活用したナレッジ共有 最近では、たとえば従来の社員食堂をオシャレな空間にデザインしなおすことで、 社員が自発的に集まりやすくし、情報交換をしやすくしている企業も出てきています。 既存の空間や仕組みも、設計次第でナレッジ交流が行われる「場」に変えることは十分可能なのです。