【特集記事】そのナレッジ、まだ使えますか? ~ナレッジの棚卸方法~

 

日々の業務で、「これはナレッジを見れば分かる」と思って開いたら、書かれている内容が今のやり方と違っていた。

そんな経験はありませんか?

 

昔、こんな経験がありました。

 

 

私が問い合わせを受けたときの話です。

問い合わせを受け、ナレッジを参照しながら回答しようとしたところ、

先輩から「そのナレッジは古いから、○○と案内して」と声をかけられました。

 

ナレッジ自体は存在していたのに、書かれている内容はすでに実態と違っていた。

正しい情報は、先輩や他社員の頭の中にしかなかったのです。

 

ナレッジは、作った時点では正しくても、ルール変更や環境の変化を重ねるうちに少しずつ実態とズレていきます。

点検・棚卸を後回しにすると、古い情報のまま放置され、いつの間にか「あるのに使えないナレッジ」になってしまいます。

 

この記事では、ナレッジを"作って終わり"にせず、"使える状態"で保ち続けるための棚卸の方法を、

一覧表の作り方と4つのステップに分けて紹介します。

 

 

 

 

 

1. ナレッジが「使えなくなる」理由

 

ナレッジが使えなくなる原因は、内容そのものだけではありません。

「何がどこにあるか」「いつ見直すか」「誰が管理するか」が決まっていないと、

更新が「気づいた人が、気づいたときに」行われる状態になりがちです。

 

 

冒頭で紹介した、先輩の記憶がナレッジよりも新しいという状況は、典型的な例の1つです。

こうした状態を防ぐために必要なのが、定期的な棚卸です。

 

棚卸を続けるメリット
  • 必要な情報を探したり、確認したりする時間が短くなる

  • 属人化の防止につながる
  • 新しいメンバーの立ち上がりが早くなる
  • 引き継ぎがしやすくなる

 

 

棚卸は、情報を整えるだけでなく、必要な情報を探したり、内容が正しいかを確認したりする時間を減らすことにもつながります。

では、何から始めればよいのでしょうか。次の章から、具体的な進め方を見ていきます。

 

 

 

2. まずは一覧化する

 

棚卸を始めるときの最初のアクションは、

既存のマニュアル・手順書を一覧に書き出し、全体を見えるようにすることです。

 

ナレッジの更新になかなか手がつかないのは、何がどこにいくつあるのかが分かっていないことが原因です。

そのため、まずは全体像を見えるようにするところから始めましょう。

 

<アクション例>

  • 対象範囲を決める(まずは自分のチームが使うマニュアル・手順書を対象にする)
  • 見つけた資料を一覧表に書き出す
  • 資料ごとに担当者(オーナー)を決める
  • 一覧表の置き場所を決め、チームで共有する

 

 

Point

「次回見直し予定日」を入れておくと、

いつ・何を見直せばよいかが一目で分かり、定期的に棚卸する仕組みが作りやすくなります。

 

<見直し頻度の目安例>

ナレッジの種類 目安
手順書(業務プロセス) 3カ月
ルール・ガバナンス 6カ月
システムの操作方法 3~6カ月
Tips 12カ月

 

 

 

3. 棚卸サイクルを回す4ステップ

 

一覧表を作っただけでは、時間が経つと再び情報が古くなってしまいます。
使える状態を保つためには、継続して見直す仕組みが必要です。

ここでは、棚卸の流れを4つのステップに分けて紹介します。

 

<棚卸サイクル>

 

 

STEP 内容
①点検
一覧表で最終更新日と活用状況を確認します。
定例会など、点検するタイミングを決めておくと継続しやすくなります。
<実施例>

・月初定例で確認する時間を10分設ける

・週次定例で次回見直し予定日を過ぎたものを確認する

②判定
活用状況を「活用中/要更新/未使用」に分類し、更新や廃止が必要かを判断します。
未使用のものや古くて使用できないものは、必要性を確認したうえで廃止も検討します。

<判定例>

・活用中:現在も利用されている

・要更新:ルール変更に伴い、

     現在の内容と差異がある

・未使用:3カ月以上、参照実績がない 

③更新
必要な内容を更新し、使用しないナレッジはアーカイブします。
対応後は、最終更新日・担当者・活用状況を更新します。
※廃止する場合は削除せず、アーカイブフォルダなどへ移動しておくと、後から経緯を確認できます。

<更新例>

・手順書に新しい対応方法を反映

・最終更新日と担当者を更新

 

<廃止例>

・古いマニュアルをアーカイブフォルダへ移動
・活用状況を「廃止」に変更  

④次回予定

更新したナレッジの次回見直し予定日を設定します。予定日を一覧表に残すことで、次の点検につながります。

<設定例>

・更新した手順書の次回見直し予定日を3カ月後に設定
・廃止したものは次回見直し予定日を空欄に変更

 

 

Point

1. 4ステップを繰り返す

 「④次回予定」で「次回見直し予定日」を設定することが、
 棚卸を一度きりで終わらせないためのポイントです。

 予定日を迎えたら再び「①点検」を行い、4ステップを繰り返すことで、

 古い情報のまま放置されることを防げます。

 

2. 優先順位をつけて見直す

 毎回、すべてのナレッジを見直す必要はありません。

 まずは、次のようなものから優先して確認しましょう。

 

  • 使用頻度の高いもの
  • 影響の大きい変更が発生したもの
  • 次回見直し予定日を過ぎたもの
  • 業務中に「古い」と気づいたもの

 

 業務中に気づいたものは、一覧表にフラグを付けておくと、次回の棚卸で確認しやすくなります。

 

3. 対象を絞ってチームで進める
 チームで棚卸を行う場合も、一度にすべてを確認しようとせず、対象を絞って進めましょう。

「今回は対応方法の手順のみ」「次回見直し予定日を過ぎたものだけ」のように

 テーマを決めると、短い時間でも確認しやすくなります。

 

 

 

4. まとめ

 

ナレッジは"作って終わり"ではなく、定期的な棚卸で"使える状態"を保つことが大切です。

 

冒頭でお伝えした私の経験では、ナレッジが古いままだったため、

その内容を信じていいのか不安になり、詳しい人への確認や聞き直しが必要になりました。

 

そのような手間を減らし、必要なときに誰もが迷わず正しい情報を確認できるよう、

まずは手元のドキュメントを一覧に書き出すところから始めてみてほしいです。

 

 

 

5. 関連資料

 

▶▶【📅ファイル】ナレッジ管理表のダウンロードはこちら

 

 

▶▶事例で終わらせない!"使われるナレッジ"の設計と運用法 はこちら

 

 

▶▶【毎月の特集記事】バックナンバー はこちら

 

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日々の業務で、「これはナレッジを見れば分かる」と思って開いたら、書かれている内容が今のやり方と違っていた。

そんな経験はありませんか?

 

昔、こんな経験がありました。

 

 

私が問い合わせを受けたときの話です。

問い合わせを受け、ナレッジを参照しながら回答しようとしたところ、

先輩から「そのナレッジは古いから、○○と案内して」と声をかけられました。

 

ナレッジ自体は存在していたのに、書かれている内容はすでに実態と違っていた。

正しい情報は、先輩や他社員の頭の中にしかなかったのです。

 

ナレッジは、作った時点では正しくても、ルール変更や環境の変化を重ねるうちに少しずつ実態とズレていきます。

点検・棚卸を後回しにすると、古い情報のまま放置され、いつの間にか「あるのに使えないナレッジ」になってしまいます。

 

この記事では、ナレッジを"作って終わり"にせず、"使える状態"で保ち続けるための棚卸の方法を、

一覧表の作り方と4つのステップに分けて紹介します。

 

 

 

 

 

1. ナレッジが「使えなくなる」理由

 

ナレッジが使えなくなる原因は、内容そのものだけではありません。

「何がどこにあるか」「いつ見直すか」「誰が管理するか」が決まっていないと、

更新が「気づいた人が、気づいたときに」行われる状態になりがちです。

 

 

冒頭で紹介した、先輩の記憶がナレッジよりも新しいという状況は、典型的な例の1つです。

こうした状態を防ぐために必要なのが、定期的な棚卸です。

 

棚卸を続けるメリット
  • 必要な情報を探したり、確認したりする時間が短くなる

  • 属人化の防止につながる
  • 新しいメンバーの立ち上がりが早くなる
  • 引き継ぎがしやすくなる

 

 

棚卸は、情報を整えるだけでなく、必要な情報を探したり、内容が正しいかを確認したりする時間を減らすことにもつながります。

では、何から始めればよいのでしょうか。次の章から、具体的な進め方を見ていきます。

 

 

 

2. まずは一覧化する

 

棚卸を始めるときの最初のアクションは、

既存のマニュアル・手順書を一覧に書き出し、全体を見えるようにすることです。

 

ナレッジの更新になかなか手がつかないのは、何がどこにいくつあるのかが分かっていないことが原因です。

そのため、まずは全体像を見えるようにするところから始めましょう。

 

<アクション例>

  • 対象範囲を決める(まずは自分のチームが使うマニュアル・手順書を対象にする)
  • 見つけた資料を一覧表に書き出す
  • 資料ごとに担当者(オーナー)を決める
  • 一覧表の置き場所を決め、チームで共有する

 

 

Point

「次回見直し予定日」を入れておくと、

いつ・何を見直せばよいかが一目で分かり、定期的に棚卸する仕組みが作りやすくなります。

 

<見直し頻度の目安例>

ナレッジの種類 目安
手順書(業務プロセス) 3カ月
ルール・ガバナンス 6カ月
システムの操作方法 3~6カ月
Tips 12カ月

 

 

 

3. 棚卸サイクルを回す4ステップ

 

一覧表を作っただけでは、時間が経つと再び情報が古くなってしまいます。
使える状態を保つためには、継続して見直す仕組みが必要です。

ここでは、棚卸の流れを4つのステップに分けて紹介します。

 

<棚卸サイクル>

 

 

STEP 内容
①点検
一覧表で最終更新日と活用状況を確認します。
定例会など、点検するタイミングを決めておくと継続しやすくなります。
<実施例>

・月初定例で確認する時間を10分設ける

・週次定例で次回見直し予定日を過ぎたものを確認する

②判定
活用状況を「活用中/要更新/未使用」に分類し、更新や廃止が必要かを判断します。
未使用のものや古くて使用できないものは、必要性を確認したうえで廃止も検討します。

<判定例>

・活用中:現在も利用されている

・要更新:ルール変更に伴い、

     現在の内容と差異がある

・未使用:3カ月以上、参照実績がない 

③更新
必要な内容を更新し、使用しないナレッジはアーカイブします。
対応後は、最終更新日・担当者・活用状況を更新します。
※廃止する場合は削除せず、アーカイブフォルダなどへ移動しておくと、後から経緯を確認できます。

<更新例>

・手順書に新しい対応方法を反映

・最終更新日と担当者を更新

 

<廃止例>

・古いマニュアルをアーカイブフォルダへ移動
・活用状況を「廃止」に変更  

④次回予定

更新したナレッジの次回見直し予定日を設定します。予定日を一覧表に残すことで、次の点検につながります。

<設定例>

・更新した手順書の次回見直し予定日を3カ月後に設定
・廃止したものは次回見直し予定日を空欄に変更

 

 

Point

1. 4ステップを繰り返す

 「④次回予定」で「次回見直し予定日」を設定することが、
 棚卸を一度きりで終わらせないためのポイントです。

 予定日を迎えたら再び「①点検」を行い、4ステップを繰り返すことで、

 古い情報のまま放置されることを防げます。

 

2. 優先順位をつけて見直す

 毎回、すべてのナレッジを見直す必要はありません。

 まずは、次のようなものから優先して確認しましょう。

 

  • 使用頻度の高いもの
  • 影響の大きい変更が発生したもの
  • 次回見直し予定日を過ぎたもの
  • 業務中に「古い」と気づいたもの

 

 業務中に気づいたものは、一覧表にフラグを付けておくと、次回の棚卸で確認しやすくなります。

 

3. 対象を絞ってチームで進める
 チームで棚卸を行う場合も、一度にすべてを確認しようとせず、対象を絞って進めましょう。

「今回は対応方法の手順のみ」「次回見直し予定日を過ぎたものだけ」のように

 テーマを決めると、短い時間でも確認しやすくなります。

 

 

 

4. まとめ

 

ナレッジは"作って終わり"ではなく、定期的な棚卸で"使える状態"を保つことが大切です。

 

冒頭でお伝えした私の経験では、ナレッジが古いままだったため、

その内容を信じていいのか不安になり、詳しい人への確認や聞き直しが必要になりました。

 

そのような手間を減らし、必要なときに誰もが迷わず正しい情報を確認できるよう、

まずは手元のドキュメントを一覧に書き出すところから始めてみてほしいです。

 

 

 

5. 関連資料

 

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