【第1回】沢渡あまねの仕事のお悩み相談室
日頃仕事をしながら抱えているよくある悩みを、COROPSの監修に携わって頂いた沢渡あまねさんとの対談を通じて、解決の糸口になるヒントを見つけていく企画です。 1回目のテーマは、「モチベーションが上がらない」。 ・モチベーションは高ければ高いほどよい。 ・一定のモチベーションを保つやり方はあるのか? そういった考えが浮かんでいましたが、最初に沢渡さんからは、 「モチベーションは、高くないといけないのか?」 という投げからから話は思わぬ展開へ・・・
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業務プロセス改善の考え方
業務プロセスの改善は、主に3つのポイントがあります。 1.「ENCRS(エンクルス)」という考え方 ENCRS(エンクルス)とは一般にいわれているECRS手法とその全行程に並列で改善効果を最大化させるために必要となるN(Negotiation:交渉)を加えたCOROPS独自の改善の考え方です。 ENCRSはEliminate(排除)、Negotiation(交渉)、Combine(結合と分離)、Rearrange(交換)、Simplify(簡素化)の頭文字を取ったもので、業務改善のポイントを整理したものです。それぞれの説明は以下の通りです。 Eliminate(エリミネート) 【排除/無くせないか?】 業務の目的をもう一度見直し、その業務は無くせないかを考える。 Negotiation(ネゴシエィション) 【交渉/調整できないか?】 交渉・提案を通じて、業務制約そのものを変える。組織のルールや戦略まで踏み込んであるべき姿を追求する。 Combine(コンバイン) 【結合と分離/一緒にできないか?】 業務をまとめて一緒に処理することで、または分離して処理することで、かかる時間を短くできないかを考える。 Rearrange(リアレンジ) 【交換/順序の変更はできないか?】 仕事や作業の順序を入れ替えることで、効率的にならないかを考える。 Simplify(シンプリファイ) 【簡素化/単純化できないか?】 もっと省略したやり方で、同じ結果を生み出せないかを考える。 2. デジタルツールの活用 デジタルツールは、業務の生産性や品質を向上させるために有用なことが多いため、業務プロセスを設計・改善する際には、一度はデジタルツールを活用することを考えると良いでしょう。 特に手作業の代替、スピードの向上という意味では、ENCRSのSimplify(簡素化)での解決策として積極的な活用を検討すると効果的です。 また、既存の業務プロセスをEliminate(排除)やCombine(結合と分離)やRearrange(交換)することで、 デジタルツールが活用できないか?という視点で考えやすくなります。 デジタルツールの活用は単純に作業効率を上げるだけでなく、業務で扱う情報がデータ化して蓄積され、効果的な分析がしやすくなること、作業が自動化されることによるミスの低減といった効率化以外の効果も期待できます。 3. 関係者を巻き込むための提案 自チームだけでは解決が難しい課題などは、自チーム以外の力、要素も組み合わせて解決に動きます。 関係者の協力を得て、進める必要がる場合は、積極的に提案することが大切です。 次期での実現に向けて動きましょう。
コミュニケーションプランの策定
関係者の洗い出しができたら、次はコミュニケーションプランを作り、関係者とのコミュニケーションを仕組み化していきましょう。この仕組みは、チームの発足時に最初に作ってしまうことが望ましいです。 具体的には、以下の3つに注意をします。 ・顧客の担当者とは週に一度定例会を設ける ・決裁者レベルの人とは、3ヵ月に一度進捗報告をする機会を作る ・関係部署とは月に一度共有会を設ける 会議体を設計する際は、会議の目的・頻度・手法を以下の3つの方法で設計し、関係者を合意形成を取り、進めましょう。 ・目的:意見交換/相談/連絡/報告/承認 ・頻度:定期、不定期・手法:メール・対面・オンラインツール 出席者の調整は、目的と会議の内容によって行ってください。例えば大きな意思決定を行う必要がある場合は、担当者だけではなく決裁者などへも調整を行い、自チームの管理職の方へも調整を行いましょう。 会議が設定できたら、実際に会議を行う際に効率的に対話できるように、何について議論したいのかを事前に連絡しておくことで、より会議の質も高まります。 会議は出席者と意見交換を行い、指針・方針・結論を出すことが主目的になりますので、情報を共有するだけの会議になりそうな場合は、時には会議の実施をやめ、別の方法(チャットやメール等)で共有することも検討して下さい。最後に、会議実施前の最終チェックとしては以下4つの項目をポイントとすると良いでしょう。 ・必要な出席者メンバーとなっているか ・アジェンダは提出できているか ・メールや電話では代替できない内容であるか ・会議の目的とゴールをスタート前に参加メンバーと共有できているか よくある失敗事例は、時間配分に併せて伝える内容を調整していないケースです。例えば10分枠なのに5分以上報告で使うとなると、その後に議論する時間が残っていません。このような場合は、必要な情報は何かを再整理をして時間を調整するなどの工夫が必要です。
計画修正時の調整方法
業務一覧(WBS)を作成し、想定していなかった作業が必要である事や、想定している予算感やスケジュール感では対応できない事などを気づける状態を保つことが良いでしょう。その中から許容範囲と許容できないレベルの確認を随時行ってください。 具体的に認識を合わせること ・Q:想定品質と測定方法 ・C:予算と想定費用 ・D:期限やスケジュールの想定 ・S:想定作業量 なお、期待値の調整は重要ですが、ついついリスクの説明ばかりをしがちです。 そうなった場合、意図せず顧客や関係者の信頼を損ねることがあります。そらないように以下の点に注意すると良いでしょう。 ・全力で元の計画通りゴールや成果に近づけたいということを伝えながらもリスクを伝え、相手もリスクを認識してからトレードオフ案を出す。 ・いきなり100%のトレードオフ案ではなく、10%、20%、30%と小刻みにしたものを伝え、まずは最小対応として10%から承認を取る。※1 また、期待値の調整(特にトレードオフ案の提示)の場合、相手が関心あるのは圧倒的に「これからどうなるか?」という未来の話です。 なのに多くの人が「なぜ計画が乖離したか?」「現状がどうなっているか?」を説明することに必死になりがちです。 たしかに正しく現状と発生している問題を認識することは的確な修正計画を策定する上で重要ですが、 顧客や関係者にとって重要なのはその修正計画とそれによる影響です。 期待値調整に失敗する人のほとんどは、この勘違いをしているパターンが多いです。 特に自身で判断をする決裁者でそのレベルが上がれば上がるほどにより未来の話への関心が高まります。 相手の立場、役職に応じて経緯、原因、修正計画、影響のどこに比重を置いて会話するかを見極め、使い分けましょう。※2 ※1:人はいきなり大きな影響やリスクのあることを決断できません。 ただ、一度決断するとその後、そのレベルが上がっても同様の決断をしやすくなります。 考えたトレードオフ案のリスクや影響があまりに大きい場合は、全体を見せた上でより小さな範囲から承認をもらうように交渉すると スムーズに進む場合があります。 また、自分たちが考えたトレードオフ案も実際は正しいかどうか、どれほど効果があるか分からない、 という場合も小さな範囲で進めることでその後の更なる計画修正も容易になります。 ※2:決裁者のレベルが上がるにつれて経緯>原因>修正計画>影響と関心が移っていきます。
要因分析方法
立てた目標や施策は、進捗状況が予定通りであるか実績の状況を把握すると良いです。 上手く進んでいる場合は、成功要因について分析し、より計画を前倒しで進める方法を考え、 進みが悪い場合は、原因を見つけて施策を見直します。この様な状況を把握は、1~2週間に1回など適切な頻度で確認する事が大切です。 根本的な要因分析がうまくいかない場合は、以下も留意すると良いでしょう。 ①対象になる問題は特定され、何が問題なのかを具体的にしているか? ②個人的な感情や思い込みで分析していないか? ③複数人で分析する等、客観的な視点や多面的な考え方を取り入れているか ④個人理由ではなく、作業環境や運用方法など組織的な問題に目を向けられているか 特定した成功要因は、再現性を持たせるためにチーム全体で共有し、チームのパフォーマンスを更に高めるために活用します。 また特定した問題点は、解消させるためにチーム内でアクションプランを検討し改善する際に活用します。 また、場合によってはアクションの変更だけでなく、目標そのものの見直しや、それに付帯する各要件(品質、コスト、期日、スコープ)の調整が必要な場合もあります。
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