QCDSのそれぞれの関係性
QCDSは互いに影響し合う関係にあるため、調整を行う際は、関係性を考慮しながらトレードオフをし調整を行っていきます。
影響範囲と、その調整方法をいくつかの例を用いてお伝えします。
例
とある企業の情報システム部門で、社内で使用する業務システムの開発と運用を行っています。
いくつかの部門向けに新たな業務システムの開発を行っていたところ、以下ケース①②のような状況があり、調整を行いました。
ケース①
要望:経営層から業務システムの利用範囲を従来のいくつかの部門から、社内の全ての部門に変更して欲しいという要請がありました。
理由:社内の全部門で利用することで、部門間の連携がスムーズになり大きく生産性が上がるためです。
対応:全部門で使うためには再度機能の見直し等が必要となるため、まずは全部門共通の最低限の機能のみで利用を開始し
後々機能をアップデートしていくことを提案し、その内容で進めることになりました。
このケースは対象の部門、つまり範囲(S)に関する要請に対して調整を行った例です。
どうにか要請に応えるために、予定の機能=品質(Q)を調整し、要請に応えることが出来ました。
コスト(C)の追加、納期(D)の延長で対応することもできますが、ここではコストと納期を守ることを優先しています。
ケース②
要望:開発を進めていた業務システムについて、当初予定の機能だけでなく、追加の機能も入れて欲しいという要望がありました。
対応:この要望に応えるためには、開発人員の追加と利用開始日の後ろ倒しが必要ということを説明した結果、
当初予定どおりの機能で進めることになりました。
このケースは品質(Q)に関する要請に対して、コスト(C)の増加と納期(D)の延長で実現することが出来る状態でしたが、
コストと納期の優先度が高く、当初の予定のとおりに進めることになったという例です。
今回は分かりやすく追加の要請というケースという例ですが、それ以外の理由でもQCDSのいずれかに変更が発生する場合は、必ず他の項目にも影響が出ます。
どの項目を調整すれば変更に対応できるのか、QCDSのどの項目の優先度が高いのかを考えながら、トレードフしていくことが調整の重要なポイントです。